女にスペックを問うべからず
新社会人(元ダメ院生)、哀しみの記録。 あえて言おう、「小さくまとまってんじゃねぇ!」と。
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研究室が廃人をつくる裏側
何もかもが上手くいかない・・・。
こんなときに思い出すのは、ダメ院生時代のことだ。
今夜は、あの異様な日々を冷静に振り返ってみよう。


当時、研究室には20名ほどのメンバーがいた。


まず最初に、ドクター3年のA氏が壊れた。
自分の頭脳と才能に圧倒的な自信を持っていた彼は、自分より成果を出している人物がいることを許せず、その人、ポスドクB氏を攻撃しはじめた。攻撃対象は、B氏から、教授、同期、後輩にまで拡大し、最終的には暴力沙汰を引き起こして、別の研究室に去っていった。呪いの言葉を残して。
「おまえが成果を出せたのは教授に贔屓されているからだ。バカのくせに。今すぐ研究者を辞めろ」
このメールは、メーリングリストで全員に配信された。


つぎに、そのポスドクB氏が病んだ。
原因はもちろんA氏である。優秀かつ善良かつ温厚なB氏は、A氏の攻撃を回避する術を持たないばかりか、A氏を絶望から救おうとすら考えたようだ。もちろん、精神を壊したA氏にはあらゆるフォローが無駄だったし、最終的には逆にB氏の精神をも蝕んでしまったのだ。恐らく、B氏の人生初の挫折だったのではないだろうか。人格者のB氏が私たち後輩を心配させまいとして見せる、悲しい笑顔を忘れることはできない。
B氏は、A氏が去るまで半年間、研究室に姿を見せなかった。


つぎは、わたしの同期のC子が鬱になった。
非常に頭がよく、繊細で、高い感受性を持つ彼女は、いろいろなことに悩んでいた。その中のひとつが、直接の指導者、ドクター2年D氏との関係である。D氏は努力家で知識人ではあるが、頭が固く、思い込みが激しく、ヒステリックな一面を持っていた。それに、他の先輩に比べて研究の才能が無かったし、頭が良いとはいえなかった。後輩にモノを教えることに、まったく適していなかった。C子はそんなD氏との関係に悩み、苦しみ、あまり研究室に来なくなった。とどめをさしたのは、彼女が久しぶりに研究室の飲み会に来たときに、女の先輩たちが放った「C子さん、太った??」の一言である。彼女たちにしてみればただの軽口だったが、C子にとっては地獄だった。C子はその後、鬱病と過食症に苦しむことになる。彼女は今も、休学中である。


ちなみにC子がそんな状況になっていたことを、彼女が休学するまで、私は知らなかった。なんという役立たずぶり。自分にほとほと嫌気がさした。加えて、事情を少しばかり知っていたにもかかわらず、精神的なフォローもせず、根本的な解決策も示さず、 「落ち着くまで休んだ方が良い」とC子をただ突き放した教授にも腹が立った。不満をぶつけてみたが、頭が良すぎるために弱者の心を理解できない教授は、論理的な回答以外を口にしなかった。すなわち、 「病気なら休むしかない。要望があるなら聞く」と。
まったく、馬鹿げている。


つぎは、C子を追い込んだD氏が鬱になった。
先述したとおり、誰よりも努力家だが、誰よりもセンスがなかった彼は、ことごとく教授と対立した。教授は、無駄な努力をするバカが嫌いだった。天才型の教授は、努力で何とかしようと思ってガムシャラに頑張った挙句に失敗したり、本筋とは外れた方向にいってしまう研究者をまったく相手にしなかった。学部生やマスター等の雑魚はともかく、ドクター以上の人間に対しては、 「センスなきものは去れ」と本気で思っていた節がある。
D氏のドクター論文直前は、毎晩のように教授との言い争いがあった。議論の最後には、きまってD氏が泣き崩れた。そして、自分のデスクに貼った「うつだと感じたら」というポスターを、真昼間から眺めることが多くなった。
彼は博士を取得後、どこか別の研究室に去っていった。


つぎは、研究生のEくんが消えた。
近所の大学から卒論を書くために研究生として来ていたEくんは、2ヶ月たったあたりから来なくなった。理由は誰も知らないが、彼が消える間際に「ここにくるとお腹が痛くなる」と言っていたのを誰かが聞いたようだ。けっきょく、一度も帰ってこなかった。


最後に、ポスドクのF氏が突然フェードアウトした。
本当の理由は誰も知らない。他の誰よりも、あまりにも予兆がなかったからだ。しかしやはり、鬱だった様子。女性っぽい仕草だったF氏が、そのことで色々言われたということが、研究室を去った理由の最有力候補らしい。彼が本当にゲイだったのかは知らない。
今では別の研究室で、楽しそうにやっているようだ。



以上のように、3年間で6人がダメになった。
メンバーの3割を鬱にする場所、それが研究室である。


ちなみに上記は、明らかに鬱病となった6人だけを挙げているので、鬱未満を含めればもっと大勢の病んだ人々がいるだろう。私の場合は、鬱になるような緻密な性格ではないので、ちゃらんぽらんの行く末=ダメ院生に堕ちた。

これは決して大袈裟な話ではなく、どこの研究室にもある話だと思う。別の研究室の同期には、精神障害を持った助教授に攻撃されて逃亡し、樹海でギリギリのところを保護されたヤツや、大学を相手取った裁判中の子もいる。隣の研究室では、日頃はとても温厚だった方が、送別会の場で「あなたがたに感謝することはひとつもない」と言い放ち、もらったばかりの博士号の証書を破り捨てたという。

何より恐ろしいことは、このような状況でも、人々は平然と研究を続けるし、週末のたびに飲み会をするし、楽しく雑談する。まさに平和そのものの日常風景が、毎日繰り広げられるのである。脱落者のことはちょっと隅に置いておいて、人々は自分の成果を上げることだけを考えている。

そして私も、紛れもなくその一員だった。最初はいちいち気になっていた同僚の脱落が、研究に追われ、先輩に叩かれ、逃亡に忙しく、自分のことで精一杯になってくると・・・、誰の具合が悪くなろうと誰がいなくなろうと、「あぁ、またか」としか感じなくなるのだ。かつてあれだけ軽蔑した教授と同じだ。



あの時代に比べると、今の生活は捨てたもんじゃないかもね。
痛みを痛みとして感じるもの。
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コメント
この記事へのコメント
どっかのM2です。
いつもROMしてたんですが、
共感するところがあったのでコメント。

やはり研究室は鬱製造機なんですね・・・。

飲みの席でのウチの准教授の発言
「キミ達の世代はまだ人間関係が壊れてないからまだまだ(追い込める&頑張ってない)だよなぁ」

いや、既に壊れてますが。
それを何とか水面下に押し留めている僕達の努力は何なんでしょう。

自分がした苦労は意地でも下の人間に体験させたいようです。

あぁいやだ。一刻も早く脱出したい・・・。

脱出出来た先輩のように頑張れれば…と思いながらの鬱な毎日です。


長文失礼しました。
お仕事頑張ってください。
あと、誕生日おめでとうございました。
2009/09/27 (日) 13:38:50 | URL | チビ助 #tQ725RIE[ 編集]
■チビ助さん
コメントありがとうございます!ROMといわず、今後ともよろしくお願いしますね。

苦痛のど真ん中にいらっしゃる現役生の方の前で、こんな暗い話題をして申し訳ない。同期との微妙な仲を取り繕うのも院生の仕事ですよね。心中お察しします。

ダメダメの限りを尽くして追い出されるようにラボを去った私は、恥ずかしくてアドバイスなんてできませんが…、ただひたすら耐えてガンガレ!いつか笑える時はくるはず!
ただ、我慢が限界をむかえる前に一目散に逃げてください。精神の健康が第一ですお。
2009/09/27 (日) 21:27:32 | URL | 水城 #-[ 編集]
ありがとうございますm(_ _)m
なんとか交わす技術(?)を覚えながら頑張れればと思います。

このブログは凄く気晴らしになるので(失礼)、
暗い話も明るい話も、研究室の話も社会人の話も、
気の向いた時に書いて頂ければ幸いです。

では。更新楽しみにしてます。
2009/09/28 (月) 19:17:31 | URL | チビ助 #3/VKSDZ2[ 編集]
THX!
■チビ助さん
そう言っていただけますか!嬉しい。恥をさらす甲斐があります。
サボるときはここを見て、「下には下がいるからちょっとくらい平気」と思ってください。
ダメ院生はいつ何時でもサボルことが許されています。それを忘れないでね!
2009/09/30 (水) 21:23:40 | URL | 水城 #-[ 編集]
久しぶりにコメント
mixiニュースでhttp://news.mixi.jp/view_news.pl?id=980238&media_id=34
が紹介されていた。ワープアがどうのというわけではない。)、"「死亡・不詳の者」が1000人(同9.1%)"という部分
多いと思わない?
2009/10/06 (火) 07:40:36 | URL | TDDI #-[ 編集]
恐ろしや・・・
■TDDIさん
お久しぶり!死亡・不詳になっていなくて何よりです。

にしても、1割があぼーんしてるんですか。知らなんだ。多いよ!多すぎるよ!
でも確かに、比率的にはそのくらいかも。。不詳の知人がいくらかいるもの・・・。
高学歴ワープア問題も、深刻ですね。そこに突っ込んでいく院進学者はどうかしている。もっとも、進学するときはそんなことまーったく考えないんだけどね。入ってみてはじめて、進退きわまってることに気付くんだよね。


2009/10/11 (日) 17:28:28 | URL | 水城 #-[ 編集]
リアルすぎ
な、なんか研究室の規模や、登場人物がうちと似てるんだけど・・・別のラボなんだな。こんな研究室ばっかりなんだろうか。う、、うちはまだ教員が良い人(達)だから良いけど。。。
2011/05/06 (金) 14:10:08 | URL | 虫とり姉さん #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2016/07/25 (月) 15:21:46 | | #[ 編集]
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